多様化する日本の大衆酒場

しだいに個室化する居酒屋

このところ繁華街を歩いていると「完全個室」とか「個室完備」などの居酒屋の看板をよく目にします。これは以前ではあまりなかった光景です。でもなぜいま居酒屋は個室化へ向かっているのでしょうか。居酒屋とは賑やかさが売り物のひとつであり、個室ではなく多くの客が一同に会してワイワイガヤガヤやるのが良いところではないのでしょうか。それがなぜいま個室志向へと向かっているのでしょう。

 

考えてみますと、これは店側が客層の変化に合わせようとしているのではないでしょうか。つまりこのところ増えている女性客に対応しようとしているのです。増えてきた女性客を逃さないようにしてリピーターにするための一つの戦略ではないでしょうか。【居酒屋の個室化は女性客獲得戦略なのか?】居酒屋はワイワイガヤガヤの雰囲気が良いのですが、最近増えている女子だけのグループによる女子会などにはやはり個室が好まれるのではないでしょうか。一昔前の居酒屋の客層と言えば、なんと言っても主体になるのは男性で、女性は、というと、そうした男性の連れ添いという形でボチボチ見えた程度でした。

 

ところがいまはボチボチではなく、男性抜きの女性だけのグループさえどんどん増えてきています。巷ではそうした女子グループのことを「女子会族」とか「宴会女子」と言うふうに呼んでるようです。こうした女子だけのグループにとっては、やはりそこは一般客とは区切られたスペースが歓迎されるのではないでしょうか。飲みっぷりのよくなった最近の女性だとは言え、やはりそこは大和撫子を名乗る日本女性なので、男性の前で堂々と飲みっぷりを晒すわけにはいかないようです。第一、そんな姿を男性に見られたら、肩が凝って疲れてしまいますから、やはりそこは気を使わない女性同士だけがいいようです。居酒屋の個室志向は、こうした女子の意向に沿ったものに違いありません。

居酒屋は女性客を取り込むのに懸命

個室を増やすことも女性客獲得戦略の一つに違いありませんが、それだけではなく、いま居酒屋は次第に増え始めている女性客を逃がさず、さらに多く取り込むためにあらゆる方法を懸命に捜し求めているようです。例えば最近の居酒屋のメニューの豪華さを見てもそれがよく分かります。何ページも及ぶ分厚いメニューには、料理もドリンクも写真つきで載せています。

 

女性はなんと言っても視覚に敏感です。ですからこうしたメニューの傾向は明らかに女性客を意識したものに違いありません。男性客だけが相手だと、決してここまでメニュー作りに力を入れるとは思えません。【居酒屋はなんとしても女性のリピーターを増やしたい】最近の居酒屋は長引く不景気で客一人当たりの単価が伸び悩んでいると言われています。したがって少しでも利益率を上げるためには客単価をあげることが重要な課題になってきます。そのために店側はいろいろな知恵を絞っているようです。その一つがより多くの女性客の獲得です。居酒屋の売り物は何も酒類だけではありません。

 

いま多くの店では料理には特に力を入れています。それは客単価アップの為のよい手段になるからなのです。料理と言えば、敏感に反応してくれるのはやはり男性客より女性客です。女性客を獲得の為にまず個室化して、その次に力を入れているのがフードメニューの充実なのです。料理の写真入の豪華なメニュー作りも女性客獲得のための戦略の一環なのです。女性客を増やして、おいしい料理をたくさん食べてもらって客単価を上げよう、というのがいま居酒屋の生き残りのための重要な課題の一つになっているのです。